ベーシックインカムの「メリット・デメリット・財源」は?

ベーシックインカムの「メリット・デメリット・財源」は?

総選挙に向けて各政党が慌ただしく動いていますが、そんな中、希望の党が10月6日に発表した政策集の中で、ベーシックインカムの検討を盛り込んでいました。(参照:THE PAGE

日本では2015年に一時ベーシックインカムが話題になり熱を帯びた時期がありましたが、今、話題の希望の党がそのベーシックインカムについて言及していることから、今後改めて注目を集めるかもしれません。

今回はこのベーシックインカムにスポットを当ててリサーチしてみたいと思います。


ベーシック・インカム(Basic Income)とは?

そもそもベーシック・インカムとは何のことなのでしょうか?まずは定番のWikipediaから確認してみたいと思います。

ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して高い税率の徴税を行って得た税収で最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を定期的に支給するという究極の高負担高福祉で大きな政府の政策。基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障、国民配当とも、また頭文字をとってBIともいう。

source : Wikipedia

小難しく書かれていますが、簡単に言うと「全ての人に無条件で最低生活費を政府が支給する」制度です。

なので、年齢・性別・仕事の有無などに関係なく、すべての人が一律で現金を政府から受け取れます。

受け取れる金額ですが、定義上は「最低限の生活ができる程度の金額」となっていることから、2万円とか3万円といったわずかな額にはならないと思われます。

日本のベーシックインカムの議論をネットで調べた限りでは、一人当たり毎月7万円~10万円あたりが相場となっています。

こう書くと「え?毎月国から10円(仮)ただで貰えるの?めっちゃいい制度!」と

なりますよね。(^_^;)

ただ、物事には何事もメリット・デメリットがあります。「ベーシック・インカム」も同じです。この制度のメリット・デメリットをこれからリサーチしていきたいと思います。

メリットは?

メリット1 ブラック企業が淘汰される

今は「仕事がきつすぎるけど会社を辞めたら生活のお金が困る・・・」ということで辞めたいけど辞められないという人が多くいます。

しかしベーシック・インカムが導入されれば、最低限の生活費はもらえるので、無理をして働く必要がなくなります。会社から無理を求められれば(サービス残業・深夜残業・休日出勤などなど)すぐにやめればいいだけです。

となると、企業側は社員に無理を要求できなくなります。要求するようなブラック企業は社員が皆いなくなり、自然に潰れていくということになります。

メリット2 したいことのために時間が使えるようになる

必要最低限の生活が保障されれば、気持ちに余裕も出てくるものです。その余裕から、自分が本当にしたかったことのためにより多くの時間を割くという動きが出てきます。

ある人は起業するかもしれません。ある人は社会のための研究に取り組むかもしれません。ある人は趣味を極めるかもしれません。ある人は子育てにより専念するかもしれません。ある人はかけがえのない親のためにより一層介護に勤しむかもしれません。

いずれにしろ、より自分らしい生き方ができるようになるというメリットが生まれます。

メリット3 AI(人工知能)による「労働自動化」への対策となる

AI(人工知能)の発達により、多くの仕事がAIによる機械化・自動化に取って代わると言われています。

例えば、アメリカ・オックスフォード大学は、2013年9月に、今後10年~20年にアメリカの労働人口の47%が機械に置き換わる可能性があるという発表をしています。

以下が、そのオックスフォード大学が調査した、機械化される可能性の高い職業リストです。

source : BUSINESS INSIDER

上から、融資担当者(98%)、受付・フロント係(96%)、弁護士補佐(94%)、小売店販売員(92%)、タクシードライバー・運転手(89%)、警備員(84%)、ファーストフード店の調理員(81%)、バーテンダー(77%)、ファイナンシャルアドバイザー(58%)、プログラマー(48%)レポーター・特派員(11%)、ミュージシャン・歌手(7%)、弁護士(4%)

このような時代が来ると、多くの人が職に就くことができなくなると言われています。しかし、ベーシック・インカムがあれば、そのような時代に対応しやすくなるというわけです。

メリット4 少子化対策になる

日本が抱える社会問題の一つが少子化です。しかし、ベーシック・インカム制度があれば、子供が増えるごとに受け取ることができる支給額が増えることになるので、少子化に歯止めがかかることが期待されています。

※ 子供にも大人と同じ金額を一律に給付するかどうかは議論の余地があると思います。

メリット5 行政の改革に繋がる

今の日本の社会保障制度は極めて複雑で煩雑です。そして、それらの手続きを適正に処理するために費やされる公務員の数も膨大な数に上ります。

ベーシック・インカムを導入すれば、年金制度も生活保護制度も各種保険制度などもベーシック・インカムに置き換わるので、この部分の行政のスリム化・簡略化を図れるというわけです。

 

以上がベーシック・インカム導入のメリットになります。個人的にはメリット3の『AI時代への対策』が一番大きなメリットだと感じます。

デメリットは?

デメリット1 働かない人が増える

「働かなくてもお金がもらえるんだったら働かない」と考える人が必ず出てきます。現に生活保護費を不正受給して働かない人がいるわけですから、この点は確実に断言できる部分です。

どれだけの人が働こうとしないかにもよりますが、結果、国の労働力が乏しくなり、いろいろな分野で質の低下・量の低下が現れる可能性があります。ひいては国力の低下に繋がり、国際社会の中で競争力を失う可能性もゼロではありません。

ただ、このデメリットに関しては心配する声はそこまで上がっていません。というのも、政府から支給してもらえる額はあくまでも必要最低限の生活ができる額であって、必要十分な額ではありません。より良い生活を望むのであればやはり働くという選択を大多数の人が自然とすると考えられます。

また、メリットの2番目にも繋がりますが、必要最低限の生活が保障されるということは、自分がしてみたい仕事にチャレンジできるようになるということなので、そういう意味でも働かない人が出てくるという問題は限定されるかと思います。

 

以上がデメリットになります。「え?デメリットってこれだけなの?」と思われるかもしれません。が、私が調査した限りではデメリットと言えるデメリットはこれだけです。

そうすると「メリットがたくさんあって、デメリットはこれだけだったら、導入するしかないでしょ!」となりますが、そこで立ちはだかる壁が2つあります。一つ目は「財源」です。2つ目は「国民の理解」です。

財源は?

もし日本にベーシック・インカムを導入しようとすれば、莫大な財源が必要になります。

仮にですが一人毎月8万円を支給するとします。日本の人口を1億2500万人とした場合、年間で必要な総額は120兆円です。(8万円×1億2500万人×12か月)

2016年度の日本の国家予算が約100兆円なので、ベーシックインカムに必要な予算がどれだけ膨大な額かはお分かりいただけるかと思います。(^_^;)

となると「どう考えても無理でしょ・・・」という結論になりがちですが「こうすればいけるのでは?」という案がいろいろあるのでそちらを簡単にご紹介したいと思います。

案1:消費税増税案

ホリエモンこと堀江貴文さんのざっくり案をご紹介します。

予算が問題ではあるんですが、とりあえず120兆配って消費税率を20%くらいに上げると日本のGDPの内需部分が300兆円くらいあるとして、300 x 20%=60兆。プラス無駄な公共事業を減らし、年金・生活保護・その他補助金をやめてベーシックインカムに統合。すればなんとかなりそうな気がしてきた。

source : 六本木で働いていた元社長のアメブロ

案2:相続税増税案

以下のブログでは相続税100%で、一人当たり月7万円のベーシックインカムの導入が可能ということを分かりやすく解説してくれています。

日本の相続税はとられていないケースが非常に多いんだとか。控除額が大きいのだそうです。最近、また変わったみたいですけどね。税金としてとられてはいないが、相続されている金額というのは、毎年80兆円以上あるらしい。しかも、それは少子高齢化の流れの中で今後増えていく。この相続される金額に100%の税金をかけてしまえば、月に7万円くらいのベーシックインカムはこれだけで可能なんです。

source :Retire in their 20s

案3:所得税増税案

以下のブログでは所得税40%で、18歳以上という年齢条件を設けてはいますが、一人当たり月10万円のベーシックインカム導入が可能という試算を出しています。

「一律40%の所得税をかけた場合」であれば、必要な財源額(月10万円支給)年間126兆円に対し、税収額(一律40%)年間125兆円になるので、誤差は1兆円しかありません。

所得税を財源に、一律で現在より高い所得税率を課せば、ベーシックインカム実現のための財源は十分確保できそうです。

source : CLL

いかがでしょうか。どの案も尖った案ではありますが、数字上はベーシックインカムの導入は不可能ではないという感じに見えます。

個人的には、これらの案を上手にブレンドしたり無駄な支出を減らせば、ベーシックインカムの導入は現実的に可能なのではないかと思います。

そのあたりは頭のいい人にお任せします。(^_^;)

国民の理解を得られるのか?

ベーシックインカムを導入しようとする点で大きな壁になる2つ目の点は「国民の理解」です。

これは財源問題とも関係してくるんですが、ベーシックインカムを導入するにあたって、財源確保のために税制を大きく変える必要がどうしても出てきます。

そうすると一部の人には不利になるためにどうしても反対勢力ができてしまうという構図です。

例えば、財源確保のために相続税を100%にしたとします。そうすれば、当然、資産をたくさん持っているご高齢の人たちやその資産を相続する立場にある人たちからはっ反対の声が上がります。

また、財源確保のために、年金制度や生活保護制度を撤廃したとします。そうすれば、今の年金受給者や生活保護受給者から反対の声が上がります。(ベーシックインカム制度で毎月10万貰えるとしても今の方がそれ以上に貰えているわけですから当然と言えば当然です。)

加えて、年金や生活保護の制度を維持・かんり・運営するために働いている公務員も職を失うことになりかねないので、そうした人たちも反対派に回るかと思います。

このように、いざベーシックインカムを導入しようとしたときに、反対派がしっかりと生まれてしまうので、これが導入にあたってのもう一つの壁となります。

個人的にはこちらの壁の方が財源の壁よりも大きな問題になりうるのではと感じます。

みんなの反応は?

最後にベーシックインカムについてのみんなの反応の一部をのせておきます。

今の腐りきった年金制度がリセットされるのはいいこと。

年寄りはBI反対だろう。年金貰ってたほうが断然いいからね。

AIが人間の労働を奪うことになるという。しかもAIは人間より生産性が高い。生産性は上がるが就労者としての人は不要になる 。仕事がない人に所得がなければ、生産性があがっても、できあがった生産物は誰がどうやって消費するのか? という問題に論理的に必ずぶち当たる。その回答は、ほかに代替案などなくベーシックインカムしかない。

BI(ベーシックインカム)で将来への不安から貯金を蓄えるって事がなくなれば市場に莫大な金が流れる。どうなるのか見てみたい。

BI(ベーシックインカム)って幾ら出すんだよ。少な過ぎたら何らメリットの無いばら撒きだし、まともに機能するだけの金額出したら収支が合わなくなると思うんだが。

14万の生活保護でさえギリギリの生活なのにBIの6万じゃ生活出来ないわ。

BI実験位して欲しいよな。

といった感じでやはりというか賛否両論な意見が見られました。まだまだ議論が必要なテーマと言えそうですね。

まとめ

今回はベーシックインカムのメリット・デメリット・財源などについて取り上げてきました。まとめてみると・・・

メリット

  • ブラック企業が淘汰される
  • したいことのために時間が使えるようになる
  • AI(人工知能)による「労働自動化」への対策となる
  • 少子化対策になる
  • 行政の改革に繋がる

 

デメリット

  • 働かない人が増える

 

財源

・消費税、相続税、所得税などの増税+不要な支出の削減でカバーできる可能性は十分にある

といった感じになりました。

これから多くの議論がなされて、日本が他国から羨ましがられる洗練されたベーシックインカム導入国になるといいなぁと感じました。

みなさんはどう思われたでしょうか?

最後までお読みいただきありがとうございました!