今の北朝鮮国民は金正恩(キム・ジョンウン)体制をどう思っているのか?

  • 2017.09.25
今の北朝鮮国民は金正恩(キム・ジョンウン)体制をどう思っているのか?

北朝鮮国民の様子を写した映像が時々日本のメディアでも取り上げられることがあります。その映像の中では皆が皆、金正恩を称え、核やミサイルの実験成功を喜んでいます。「偉大なる将軍様!」といったフレーズは何度聞いたか分かりません。

source : pddnet.com

ただ、そんな映像から違和感を覚えるのは自分だけではないと思います。本当に北朝鮮の国民はみんながみんなあの「熱狂的な感じ」なのでしょうか?華やかで熱気溢れる映像とは別に非常に貧しいというニュースも耳にします。実際のところどうなのか気になったので当サイトにてリサーチしてみることにしました。どうぞ。


今の北朝鮮国民の生の声

北朝鮮の内部事情について詳細な情報をアップしているサイトとして「DailyNK Japan」と「ASIA PRESS NETWORK」いうサイトがあります。北朝鮮内部に連絡手段を持ち、現地の実情を都度伝えている大手サイトです。

それらのサイトの中で北朝鮮国民の生の声がいくつも紹介されていましたので引用してみたいと思います。実態は北朝鮮が外国向けに提供している上のような映像の雰囲気とは真逆なものとなっていました。

北朝鮮国民の声

「この機会に米国や南朝鮮(韓国)が平壌の最高人民会議の議場に砲弾1発打ち込めば、(正恩氏ら)北朝鮮の政権は全滅するのに」

source : DailyNK Japan(2017/04/14の記事)

「南朝鮮(韓国)と米帝(米国)を火の海にすると大口を叩くこと半世紀、今やその両国が北朝鮮の人々が羨望する国となってしまった」

「こんな暮らしをするんだったら、決着を付けたらいいじゃないか」

「米国が(金正恩氏らのいる)平壌を爆撃してくれたいいのに」

source : DailyNK Japan(2017/08/27の記事)

「叔父だけでなく義兄(金正男氏)まで殺すなんて恐ろしい。人の道にもとる」

「あんな若造に政治や世の中のことの何がわかる。祖父(金日成)真似ばかりしている」

「水害復興作業や農村などで労働奉仕動員の負担が増えて困る。電気・水道の麻痺が酷くなった」

「些細なことですぐ拘束される。粛清も多く幹部たちはいつも震えている」

source : ASIA PRESS NETWORK(2017/05/01の記事)

「政府が言うこと、約束するとことを信じる人はもういませんよ。騙すんです。自分たちに都合の悪いことは伝えず、問題ないと思われることだけを知らせている。だから、皆政府の言うことに関心を持たないんです。朝鮮の人々は、昔とは違いますよ。」

source : ASIA PRESS NETWORK(2017/09/19の記事)

内部情報筋(サイト運営関係者)の見解

「住民の心中は、ミサイル発射が成功した喜びよりも、心配の方が大きい。発射を祝う軍民連歓大会に動員されたり、大会に必要な物資を供出させられたりするかもしれない。そうなれば、こき使われてクタクタになるだけではなく、なけなしのカネも、市場で商売する時間も奪われ、経済的に困窮することになるからだ」

source : DailyNK Japan(2017/08/02の記事)

「孫(金正恩党委員長)が祖父(金日成主席)と父(金正日総書記)の手法を未だに踏襲しているが、戦争の脅威を煽って内部の結束を高めようとしても、もはや誰も信じず、効果もない」

source : DailyNK Japan(2017/08/27の記事)

いかがでしょうか。北朝鮮の国民はいろいろな意味で憔悴しきっています。政府の公約(嘘)にうんざりし、政府を信じる気持ちはなくなっています。生活は困窮を極めています。だからといって、そんな不平不満を口外すれば、連行され拘束されます。

「北朝鮮の人々は、日々、貧困・恐怖・絶望と共に生きている」そんな印象を受ける国民の生の声です。

そんな状況を象徴的に表す有名な1本のスピーチ動画がありました。ご存知の方も多いかと思いますが、知らない方のために載せておきます。

この動画でスピーチをしているのは、脱北に成功した北朝鮮出身のパク・ヨンミさんです。2014年にダブリンで行われた若者の国際会議「One Young World」にて、彼女が北朝鮮で体験した悲痛な出来事を涙ながらに語っています。その内容は想像を絶するもので、上記にて取り上げた北朝鮮国民の生の声からでも想像できないほどのものです。

言葉をなくします・・・。

北朝鮮国民の思考の変化の背景

今までは北朝鮮は情報鎖国社会でした。北朝鮮政府が発する情報が全てであり、真実だと思っていました。国民はそれを信じ続けてきました。ところが、今やその状況は上でも触れているように大きく変わってきています。なぜなのでしょうか?

文明の利器の影響

時代が流れ、いわゆる文明の利器により外部情報を入手できるようになり、真実が暴露されてきています。

例えば、北朝鮮の平安南道(ピョンアンナムド)市では、住む人の5割から7割が韓国のラジオを聞くことができています。そのラジオ経由で北朝鮮政府が決して伝えない情報(核・ミサイル実験などで経済制裁が行われていること、大使館員らが韓国に亡命したことなど)を知るようになってきています。

赤枠で囲まれている部分が平安南道(ピョンアンナムド)市

別の例では、韓国のテレビを受信できる北朝鮮国民もいます。韓国に隣接している黄海道(ファンヘド)や江原道(カンウォンド)などでは、韓国の公営放送、KBSテレビが受信できます。

韓国の民間団体の活動による影響

さらに、韓国の民間団体による情報公開活動もじわりじわりと功を奏しているように思えます。

例えば、最近では、韓国の「北朝鮮の政治犯収容所の犠牲者家族の会」は2017年9月17日、軍事境界線にほど近い地域から北朝鮮に向けて、USBメモリ1000個と、ビラを入れた風船350個を飛ばしています。USBメモリには、北朝鮮国民がなかなか触れることができない海外情報や北朝鮮の核兵器開発にまつわる情報などが入っているとのことでした。(参照:news.infoseek.co.jp

以上、幾つかの例を取り上げてみましたが、このような背景により、北朝鮮国民は真実の情報に触れることができるようになっています。結果、情報覚醒を起こし、北朝鮮政府に対する不平・不満・怒り・失望が膨れ上がってきているという状況です。

北朝鮮国民の日常生活画像集

最後に現在の北朝鮮の国民の生活の様子を切り取った画像を載せておきます。この記事の冒頭で引用したミサイル発射成功を喜ぶ国民の画像とは比べ物にならないほど真逆なものばかりです。

川で洗濯する女性。2017年7月。

source : ASIA PRESS NETWORK

 

河川で入浴する男性。北朝鮮が外部に公開させたくない画像の類の一つ。2017年7月。

source : imgur.com

 

貧困ゆえに幼い子供も労働せざるを得ない。2017年7月。

source : imgur.com

 

洗濯する若い兵士たち。あばらが浮いている。2017年7月撮影。

source : ASIA PRESS NETWORK

北朝鮮の首都平壌は比較的裕福な生活をしている人が多いです。しかし、いったん都会を離れて農村部に目を移すとその差は歴然です。

世界的に経済格差が問題視されていますが、北朝鮮ではまさにその格差が如実に表れています。北朝鮮国民の生活の向上を願うばかりです。

まとめ

北朝鮮国民が金正恩体制に対してどのように感じているのか、まとめてきました。北朝鮮政府が諸外国に対してリリースする画像や映像が以下に作り物なのかがよく分かる内容だったかと思います。一日でも早くまともな支配者が北朝鮮を治める日が来てほしいものです。

最後までお読みいただきありがとうございました!