もし北朝鮮の核爆弾(水爆)ミサイルが日本に落ちたらどうなるのか?

  • 2017.10.01
もし北朝鮮の核爆弾(水爆)ミサイルが日本に落ちたらどうなるのか?

北朝鮮の水爆実験成功の発表を受けて日本の不安が高まっています。

「もし北朝鮮の核爆弾ミサイルが日本に落ちたらどうなるのか?」気になって心配で不安でたまらないという方もおられるかもしれません。今回の記事ではその部分をリサーチしてお届けします。


北朝鮮の水爆の威力はどれくらいあるのか?

source : Newsweek

まず再確認の意味も込めて、2017年9月の北朝鮮の水爆実験について振り返ってみたいと思います。

日本時間9月3日午後0時29分頃、北朝鮮が6回目の核実験を強行しました。北朝鮮の国営テレビは同午後3時半に「水爆実験を成功させた」と発表しています。

注目されたのは地震の規模で今回の実験の際のマグニチュードは「6.3」でした。参考までに過去5回のマグニチュードは、5回目:M5.3(2016年9月)、4回目:M5.1(2016年1月)、3回目:M5.1(2013年2月)、2回目:M4.7(2009年5月)、1回目:M4.3(2006年10月)となっています。

北朝鮮水爆実験記録表
回数 実施日時 マグニチュード
1 2006年10月 4.3
2 2009年5月 4.7
3 2013年2月 5.1
4 2016年1月 5.1
5 2016年9月 5.3
6 2017年9月 6.3

回数を重ねるごとに爆発の規模が大きくなっているのが分かります。

さて、マグニチュード6.3という数字から、北朝鮮が行った核実験の爆発規模を試算していくわけですが、小野寺防衛大臣は次のように述べています。

小野寺五典防衛相は6日午前、3日の北朝鮮による核実験の爆発規模が160キロトンだったとの分析を発表した。暫定値で120キロトンとしていた5日の説明を修正した。

source : 日本経済新聞

ということで、日本政府の公式見解としては北朝鮮の水爆の威力は「160キロトン」ということになっています。ただ、気になるのは朝鮮中央通信の次の発表です。

朝鮮中央通信は、2016年1月6日に実施された「初の水爆実験」で得た成果に基づき「水爆の弾頭の技術的性能が最先端の水準で更新(アップグレード)された」と強調し、「攻撃対象によって、威力を数十キロトン級から数百キロトン級まで任意に調整できる」と主張。

source : JIJI.COM

「水爆の威力を数百キロトンまで調整可能」という発表です。北朝鮮のこの発表が本当であれば、MAXで160キロトンではないということです。ということで、この160キロトン~数百キロトンの爆発規模をベースに考えていきたいと思います。(参考までに広島の原爆の威力は15キロトン、長崎の原爆の威力は20キロトンです。)

水爆を搭載したミサイルが日本(東京)に落ちたらどうなるのか?

前述した規模の水素核爆弾が日本に落ちたらどうなるのでしょうか?160キロトン~数百キロトンレベルの爆発規模を念頭に置いて試算をしていた二人の専門家の意見をご紹介したいと思います。

マーク・フィッツパトリック氏のレポート

一人目は世界トップクラスの安全保障シンクタンク「国際戦略研究所」に在籍するアメリカ本部長、マーク・フィッツパトリック氏です。

source : KAYHAN LONDON

フィッツパトリック氏のレポートでは東京に核ミサイルが落ちた場合の被害状況について次のように述べています。

「(6回目の核実験における)北朝鮮の水爆の『核出力』は300キロトンと見るのが妥当です。東京を300キロトンの核が直撃した場合、試算によると死者は85万8190人、負傷者は281万4040人という数字になります。」

source : Livedoor NEWS

フィッツパトリック氏は北朝鮮の核ミサイルの規模を300キロトンで計算しています。日本の防衛省が出した数字(160キロトン)の倍近い数字です。

死者数は85万8190人、負傷者数281万4040人という極めて具体的な数字を出してきています。

負傷者に関してですが、同氏は、仮に東京都庁に落ちた場合、東京ドームから世田谷までの全ての人が重度の火傷を負うことになるとしています。皮膚が焼けただれるのはもちろんのこと、皮下組織までやられてしまい、ケロイド(重度の火傷痕がいつまでも残り続ける)に苦しめられるとのことでした。

田岡 俊次 氏のレポート

二人目は米ジョージタウン大戦略国際問題研究所主任研究員やストックホルム国際平和問題研究所客員研究員を務めた経歴のある軍事評論家 田岡 俊次 氏です。

『日本を囲む軍事力の構図』、『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』などの著書も出しておられます。

source : iwj.co.jp

その田岡氏は次のように述べています。

 北朝鮮が9月3日に実験した水素爆弾の威力を防衛省が160キロトン(TNT爆薬16万トン相当)と推定している。その場合には、威力が広島型の10.6倍だが、破壊力は水平方向と上方に向うから、効果半径は3乗根になる。その範囲は、国会議事堂を中心とすれば北は巣鴨、南は大崎、西は中野、東は錦糸町付近となる。

この圏内の面積は137平方キロ、東京23区の人口密度は平方キロ当たり約1.5万人だから205万人程度が住んでいる、と一応計算できる。だが千代田区の昼間人口は住民登録人口の17.4倍、中央区で4.9倍、港区で4.3倍だから、ウィークデーの昼間に攻撃を受ければ犠牲者ははるかに多くなる。

source : Yahoo! news

田岡氏は北朝鮮の水素爆弾の威力を160キロトンと見積もっています。防衛省の見立てと同じ数値となっており、前述のフィッツパトリック氏とは異なってきます。

爆心地を国会議事堂という設定で試算した場合の負傷者数は205万人としています。フィッツパトリック氏は280万人以上です。この差は水素爆弾の威力をどう見積もったかの違いと言えそうです。

ただし、田岡氏は、平日の昼間に核攻撃を受けた場合は、人の流れの兼ね合いで犠牲者が何倍にも膨れ上がるとしています。死者数については触れていませんでした。

核爆弾シミュレーションサイトではどのような結果が出るのか?

いろいろな核爆弾シミュレーションサイトがありますが、今回利用させてもらったのが「NUKEMAP」です。

歴代の核爆弾を、指定した場所で爆発させた場合にどれほどの被害が発生するのかをシミュレーションすることができます。詳細な利用方法についてはこちらから確認できます。

今回は北朝鮮が開発した水素爆弾と同規模の「W-87」(爆発規模300キロトン)という核弾頭をデータとして用いました。このデータを「東京」「大阪」「福岡」の3都市に当てはめてシミュレーションしてみました。

東京の場合

東京(東京都庁)を爆心地とし、空中爆発させた場合のシミュレーション結果画像がこちらです。

死者数:71万9490人 / 負傷者数:258万1700人

死傷者数に関しては、先ほど取り上げた二人の専門家の意見とほぼほぼ同程度の数字が出ています。

上記の画像ではエリアが分かりにくいと思うので、拡大版を以下に載せておきます。各サークルの説明も一緒に添えておきます。

【マップ拡大版】

  • 緑色サークル部分:被爆線量が500remを超えるエリア。医療処置がない場合、急性効果のみで死亡する確率が50~90%のエリア。
  • 黄色サークル部分:爆発により生じる火の玉のサイズ。
  • 灰色サークル部分:爆発による圧力が5psiまでの範囲で、ほとんどの建物が倒壊し、多くの死傷者が出るエリア。
  • 橙サークル部分:3度熱傷を負うエリア。

※ 3度熱傷とは…皮膚全層の損傷で、痛覚が失われて痛みがなく、肌の表面が壊死し、やけど跡ははっきりと残り、ケロイド状になる火傷のこと

大阪の場合

大阪(大阪府庁)を爆心地とし、空中爆発させた場合のシミュレーション結果画像がこちらです。

死者数:61万0460人 / 負傷者数:187万4800人

 

【マップ拡大版】

  • 緑色サークル部分:被爆線量が500remを超えるエリア。医療処置がない場合、急性効果のみで死亡する確率が50~90%のエリア。
  • 黄色サークル部分:爆発により生じる火の玉のサイズ。
  • 灰色サークル部分:爆発による圧力が5psiまでの範囲で、ほとんどの建物が倒壊し、多くの死傷者が出るエリア。
  • 橙サークル部分:3度熱傷を負うエリア。

※ 3度熱傷とは…皮膚全層の損傷で、痛覚が失われて痛みがなく、肌の表面が壊死し、やけど跡ははっきりと残り、ケロイド状になる火傷のこと

福岡の場合

福岡(福岡県庁)を爆心地とし、空中爆発させた場合のシミュレーション結果画像がこちらです。

死者数:31万3730人 / 負傷者数:68万1930人

 

【マップ拡大版】

  • 緑色サークル部分:被爆線量が500remを超えるエリア。医療処置がない場合、急性効果のみで死亡する確率が50~90%のエリア。
  • 黄色サークル部分:爆発により生じる火の玉のサイズ。
  • 灰色サークル部分:爆発による圧力が5psiまでの範囲で、ほとんどの建物が倒壊し、多くの死傷者が出るエリア。
  • 橙サークル部分:3度熱傷を負うエリア。

※ 3度熱傷とは…皮膚全層の損傷で、痛覚が失われて痛みがなく、肌の表面が壊死し、やけど跡ははっきりと残り、ケロイド状になる火傷のこと

触れるまでもありませんが、サークルの外であれば問題ないということではありません。重度の負傷を追う範囲がサークル内なだけで、サークル外でも場所によっては死ぬことも十分あり得ますし、確実に重軽傷は負います。加えて、放射能汚染からは逃れられません。

そう考えると、水爆の被害が以下に甚大かが分かります。

まとめ

今回は「もし北朝鮮の核爆弾ミサイルが日本に落ちたらどうなるのか?」という疑問について考察してみました。

専門家の見立てやシミュレーション結果はどれも似たような結果となっており、実際に事が起こった場合も同様の被害が発生することが予想されます。そのような被害が起こらないよう願うばかりです。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました!